実はこの夏
私はゴキブリを心待ちにしていたのである
もちろん大ッキライなのだが
今年だけは別なのだ
みなさんは“ゴキ包(パオ)”っていう殺虫剤をご存じだろうか
初めてTVで“ゴキ包”のCMを見たとき
私は思わず“ゥガァー”と叫んでしまった
すばらしい商品だと直感したからだ
さっそく購入し
一日も早く使ってみたくてウズウズしていたというわけだ
待つほどもなくその日は来た
家賃も払わず我が物顔に部屋ん中をカシャカシャしやがる
黒い悪魔めっ
私はゴキめがけて“ゴキ包”を発射した
ところが
どうもスプレーの発射音に危険を察するのか
“包(パオ)”が達する前にうまくかわされてしまう
それにひるまず何度も発射し
やっとのことで“ゴキ包”作成に成功した
私はかなーり満足したが
あたり一面“包(パオ)”でマッチロになってしまうのには困った
すばしっこいゴキをイッパオ(一包)でやっつけるのは至難の業なのだ
対策として
新たにゴキジェットを買ってきて
右手にゴキ包、左手にゴキジェットを持ち
ゴキジェットで動きを鈍らせてからゴキ包でくるむという二刀流を編み出した
私も宮本武蔵なみである
“これって二度手間ではなかろうか”
と軽い疑念も湧いてくるが、
“包”をつまんで捨てられる清潔感,征服感は圧倒的なものだ
“包”に包まれて身動きできないゴキを見てると
“お前らは絶対人間に敵わねぇ”
って優越感に浸らせてくれるんだよねぇ
ま、ゴキ相手に俺も大人げないが…
ゴキブリも可哀相ではある
同じ昆虫でもクワガタやカブトムシに生まれていれば
子供たちのヒーローだったのに
ちょっとした遺伝子の違いだろうが
ゴキブリだったばっかりに…
おそらく有名大学の物理,化学,薬学を出た立派な学士,博士のみなさんが
知力を尽くしてゴキの殺虫方法開発を競い合っているのだろう
悲しい運命(さだめ)であることよなぁ
そして開発された“ゴキ包”
ゴキジェットとの二刀流では
ちょっと二度手間?
って感じはあるが、
素晴らしい発想に違いはない
今はゴキが待ち遠しくてたまらない
ゴキたちよ
包(パオ)に包まれ転生なさい
望むらくは
せめて来世はカミキリ虫ぐらいでありますように…
アーメン