安心しなさい
私は全然変わってないよ
中学時代と同じ真面目な堅物
先日も仕事帰りに駅まで歩いているときのこと
夜の7時を過ぎていたけどまだまだ明るく
昼の暑さが湿度を増して蒸せかえるような夕暮れ
そこは日も暮れるとネオンが妖しい猥雑な裏道
でもこの4月から石原都知事の英断で
無闇な呼び込みが禁止され静かではある
堅物が辞書から出てきたようだと言われる私にとって
あの呼び込みだけは耐え難い
うるさいだけでなく不愉快になる
最近の静けさは大歓迎だ
ふと見ると小柄なオヤジが私のほうを向いて
小声でブツブツと独り言を言っている
歩みに従って自然に近づいていくと
どうやら私に向かって“社長 社長”と言っているらしい
中学時代と変わらず間違ったことを捨て置けない性格の私は
“いやいや 私は社長などではないぞ 人間違いである”と訂正する
するとオヤジは
“まあ この暑さだし 立ち話もなんなので 中でビールでも”と誘う
ほんとに暑くて喉が渇いていたのでそれもいいかと中に入る
名刺を示して社長ではないことを証明すればいいだろう
とボックス席に座って待っていると
オヤジではなく若いネーちゃんがビールを持って横に座る
真面目な私はネーちゃんに失礼があってはいけないと思い
機嫌を損ねないようお世辞を交えながら世間話などする
郵政民営化や六カ国協議の話などが通じないのにはちょっと困った
そのネーちゃんもとてもいい子で
“おヒゲがステキ”などといろいろ褒めてくれる
なんか楽しくていつの間にか2,3時間過ごしてしまい
そろそろ帰ろうかとお勘定をお願いすると3万円
いまさら高いとかおかしいとか文句を言うのは男らしくない
そんなことハナからお見通しよっ(意味が違うか?)
安いもんじゃぁ持ってけドロボウすっとこどっこい
電車で帰るのもアホらしく6千円払ってタクシーで帰ってやった
がっはっは はぁ〜・・・